公立小学校廃校の要因とその課題に関する研究
藤野哲生氏(東工大院) 藍澤宏教授(東工大) 菅原麻衣子助教(東工大教育環境創造研究センター)
とても知的な論考を拝読させていただいたという感想。
近年の小学校の廃校に伴って、施設のリノベーション提案が多数なされてきている。こうした提案は社会要請に応えるという点で価値はあるのだが、廃校になることが本当に正しいのかという価値観に対しては応えられていない場合が多い。本稿は事後対処的な研究が多く、根本的な価値観を問う非常に視座の高い論文である。
本稿の基本的な視座は、前文に「児童の地域的な教育の側面や地域の将来を考慮すると、廃校は十分に検討し、できる限り避けなければならない」、「(廃校の)利活用を検討することは地域の維持・活性化において重要であるが、それと並行し、廃坑を前提とせずに、その存続の方法を探る」という文に強く表現されている。
本稿では、1823市区町村を、都道府県別に1/2ずつ無作為抽出し、当該自治体の教育委員会にアンケートを送付している。教育委員会が回答しているということを前提に、データとその解読をしていく必要があります。
本稿で明らかとされた点は次の通りです。
(1)廃校の発生要因
一般的に平均児童数の減少との関連が考えられるが、その他の点として、財政力指数の低い市町村で廃校が進んでいることを証明している。
(2)廃校の発案者とその理由
廃校の発案者は、教育委員会単独が約51%(※1)、教育委員会を含む行政機関(8%)、行政機関と保護者・地域住民(22%)、保護者・地域住民のみ(19%)の4種類に整理されている。
廃校の理由としては、いずれも集団学習の困難化が第一要因となっている。ただし、保護者・地域住民では学級の児童数15人程度から廃校が発生しているが、教育委員会単独型では学級の児童数15人程度から廃校が発生していることを明らかとしている。また、教育委員会を含む行政機関では施設不良を理由とする廃校が増えることを明らかにしている。これらの点については鋭い論究をさけているが、データとして非常に興味深いものである。
(3)都市農村の差異
都市部では農村部より児童数が多くとも廃校になる傾向が明らかとされ、これは農村部では廃校跡の統合先への通学の困難性に起因するとの分析がなされている。
(4)休校・分校化による廃校の回避について
小学校存続の一手段として休校・分校化が提案されている。
なお、休校・分校化の期間は、自治体によって5年以内に廃校に変わるものと、10年以上継続するものとに分かれているとの分析がなされている。乱暴に解釈すれば、5年以内に廃校に変わる自治体は、廃校を目的に休校・分校化をしており、10年以上継続するものは将来の可能性を保持しているということでしょうか。
※1 教育委員会へのアンケートのため他機関への配慮もあり数値が高いのかどうかは不明
2010年3月25日木曜日
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