2010年3月26日金曜日

サテライト型特別養護老人ホームの運営実態と入居者への効果に関する研究

サテライト型特別養護老人ホームの運営実態と入居者への効果に関する研究
山口健太郎(近大講師・博工)、井上由起子(時樹立保健医療科学院・博工)
日本建築学会計画系論文集、第75巻、第649号、559-568、2010年3月

 サテライト型特別養護老人ホームとは、「主に郊外の大規模施設(本体施設)から定員の一部を割くかたちで建設された地域密着型特養」と定義される。この運営実態と、入居者に対する地域居住の効果について明らかとすることが本論文の目的にあげられている。研究対象として、2005年度に構造改革特区として申請された9事例に対し、アンケート及びヒアリングが行われている。
 運営実態についてはここでは省き、入居者に対する地域居住の効果についてみてみたい。
 本体施設の利用者の従前居住地は同一市町村を超えて35km以上に及ぶ場合もあるのに対し、サテライト施設では同一市町村に限られていることが明らかにされた。6km以内の人が81.6%となっている。ここで、本体施設では平均3.1回/月(10日に1回)であるのに対し、サテライト施設では6.5回/月(3,4日に1回)と倍以上になっている。距離の近接によって、家族の訪問回数が増加したと推察されている。
 また、滞在時間についてもサテライト施設の方が長くなっている。これは個室化の影響ととらえられている。本論では、4人部屋の本体施設から個室のサテライト施設へ移動した際の、平面図と家具等の配置を記録し、また入居者及び家族にヒアリングを行っている。その結果、個室内で、家族がソファで休憩をしたり、排泄介助、好きな歌を一緒に歌う、宿泊、小さな子どもを連れていく、仕事をする、裁縫、筆記の訓練等、行為の多様化を認めている。

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