2010年3月29日月曜日

木造専用住宅のストックと除却の動向に関する研究〜大阪3地域の木造船用住宅によるケーススタディ〜

木造専用住宅のストックと除却の動向に関する研究〜大阪3地域の木造船用住宅によるケーススタディ〜
堤洋樹(九州共立大准教授)、小松幸夫(早大教授)、李祥準(早大助手)、平井建嗣(早大院)
日本建築学会計画系論文集、第75巻、第649号、p.695-700、2010年3月

建築基準法を始め、建築の世界は「新築」が前提にある。私の学生時代には設計課題等で、
新築以外の提案は考えにくかった。しかし、今では卒業設計展等に行くと、リフォームや、
都市ビルの用途転用(コンバージョン)、団地リノベーション等の提案が多くある。

実務をやり始めてからは、都市部にある木造密集地域等をそのまま活かそうという考え方は、
民間デベロッパーだけでなく、行政にも少ないということが分かった。木造密集地域等と指定され、
都市環境の改善のために、段階的な建替えや道路拡張が行われる。民間が開発をしてくれれば、
行政のお金も出ないので恩の字といった感じか。

さて、こうした知識をもってこの論考をみる。同論文は、大阪の大阪市中央区、東淀川区、そして
枚方市の木造専用住宅のストックと除却数の推移を、2030年まで予測したものである。
予想通りの結果で、都市部にあるほど木造専用住宅のストックも除却数も大きくなり、郊外に行くほど、
これらが残るという結論である。

私が気になるのは、より都市計画的な視点が論考の中に必要ではないかということだ。
まず、用途地域の割合が違う。都市部では、住居地域であったも第1種中高層等で容積率も300や400
が与えられている場合が多い。こうした場所だと、敷地規模さえ大きくすれば大型マンションが建設できる
ので、木造専用住宅の買収に走るだろう。

また、対象とする木造専用住宅が都市部と郊外では性格が全くことなる。郊外では、第1種住居で容積率は
200とかのため、木造専用住宅で心地よい暮らしがおくれる。反対に、都市部にある木造専用住宅のいくらかは、
木造密集地域に指定されているだろう。これをストックとみるかどうかも、研究者として応えなければいけない
点ではないかと思う。

1 件のコメント:

tuba さんのコメント...

九州共立大学の堤です。私の論文をお読み頂きありがとうございます。
さて、都市部と郊外では木造専用住宅の用途や性格が異なる点を考慮していないというご指摘の点ですが、構造的な問題よりも「用途や性格が異なる=利用者の意識」が平均寿命に大きな影響を与えていると考えています。なお、都市計画的な視点を含め具体的な要因について現在分析を行っています。
なお「全てのストックを維持する」ではなく「良質なストックを確保するために何が出来るか」を意識して研究を行っていることをご了解いただければ幸いです。